介護福祉士日記(1)「家に帰りたい」Tさん(78歳女性)

2019年2月22日

東京では満床約60名の有料老人ホームに勤めていました。

今回はそこで出会ったTさん(78才女性)のお話です。


いつも背筋をピシッと伸ばし、見た目も若くキレイなTさん。

バリバリのキャリアウーマンだったそうで、

誰よりも自分はしっかりしているといった、自信に満ちていました。

しかし、認知症があったため家族が独居を心配し、入居することに。

老人ホームに行くことを伝えれば絶対に行かないであろうと考えた家族は、

「ちょっと出かけよう」と誘って、そのまま施設へ入居となりました。

家に帰るつもりで出かけたのに、老人ホームに置いて行かれたTさんは

当然「どうして家へ帰れないのか」と訴えられました。

少しすれば慣れるだろうと思っていたのですが、

何日も何週間も

Tさんの訴えは続きました。

ドアを殴る蹴る、事務所で職員が家族に電話するまで床に座り込む、「家で入るから」と何週間も風呂へ入らない…などなど。

おやつにお誘いしても、食事にお誘いしても、

事務所や出入り口の前の床に座りこみ、意地でも動かないという態度をされることもしばしば。

毎日のようにスタッフで話し合い、Tさんが安心して暮らせるようになるためにはどうすればいいか考えました。

例えば、

Tさんが「帰りたい」と言われた時スタッフによって返事がバラバラで、

「さっきと言ってることが違う!」とご立腹されることがありました。

”もうすぐバスがくるので、おやつでも召し上がって待っててください”

”今日はこちらに泊まることになってるんですよ”

”Tさんはもうここに住んでるから、ここがTさんの家ですよ”

「帰りたい」と言う度に、こんなにバラバラな返答ばかりでは不安とイライラが募るのは当然です。

帰宅願望を訴えられた時の声かけをスタッフで統一し、

好きな話題を見つけることでTさんの興味が別のことに向くようにしました。

その甲斐あってか、

常に「帰りたい」という思いは持ち続けておられたものの、

ニコニコ話されることや、「今日は泊まっていこうか」と言われることも増えていきました。

「私は人からたくさんのことを学ばせてもらったの。あなたも何事にもチャレンジして、いろんな人に出会うのよ。楽しいから。」

きちんと向き立って話してみると、

プライベートで知り合っていたらとても楽しかっただろうなと感じるような、

とても素敵な大人の女性でした。

帰宅願望が強く、暴力行為や介護拒否あり。

Tさんの入居当時の様子をこのように書くことは簡単です。

しかし、Tさんがどのような生活を送ってきたのか、

何が好きなのか、何が嫌いなのか、

そこを知っていくと

Tさんがどんなに魅力的な人物であるか知ることができました。

介護において一番大切なのは、

「その人らしさを知ること」なんだなと

改めて感じた出来事でした。

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ここまで読んでいただきありがとうございました🍃

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